ヴィンセント・バックのトランペットマウスピース「5B」、ピンクゴールドプレート（ピンクゴールドメッキ仕上げ）です。
ボディには「VINCENT BACH 5B」という精密な刻印がしっかりと入っています。
V.バックのトランペットマウスピースは近年たびたび値上げが続いていて、2023年7月には再度大幅に値上げされました。
現在、通常の銀メッキ仕上げのマウスピースで 定価 10,450円で販売されていますが、今後さらに値上げが続く可能性も十分あります。
「ピンクゴールドメッキ」は、マウスピースへのメッキ代金だけでプラス15000円前後かかります。
ピンクゴールドは金75%、銅18%、銀5%、パラジウム2%という配合が一般的のようです。
唇への感触が通常の金メッキと違ってツルッと滑らないので、こちらを好む方も多いと思います。
また見た目のピンク色が美しく、銀メッキの楽器に装着した時も通常の金メッキと違って浮いた感じがしなくて良いと思います。
金（ゴールド）の高騰が世界的に止まらず、非常に高値で推移していて今後さらなる値上がりもありそうです。
楽器やマウスピースの金メッキも以前の軽く倍以上の価格がついていて、シルキーなど楽器メーカーによってはゴールドプレート（金メッキ仕上げ）の楽器の受注をストップしているところもあります。
金メッキは唇への感触が銀メッキとはかなり異なり、滑らかでリップの自由度が格段に変わると感じる方が多いようで、プロ奏者を中心に使用する人が増えてきています。
音色的にもしっとりとして少し重みのある良い意味でウェットな（濡れた）サウンドになる傾向があり、金管楽器やサクソフォーンでは世界的に金メッキの楽器の需要が高くなってきています。
フルートや木管楽器のキー部分、リガチャーにも、以前から金や金メッキ仕様は定番となっていて、高級オーディオの世界でも端子部分などの金メッキは耐久性以外にも音色の深みが増すことからよく使われています。
ウィーンフィルでもトランペットに始まり、最近ではホルンやテューバまで金メッキの楽器を使う奏者が増えてきています。
楽器もですが、直接唇に当たるマウスピースは特にメッキの効果が一段と表出するので、MONETTE社などマウスピースでは金メッキが標準仕様のメーカーも出てきています。
V.バック「5B」のメーカー発表の仕様は
リム内径 16.25mm
リムの形状 MW（ミディアムワイド。外側に向かって低くなり比較的角の立った輪郭）
カップの深さ MD（ミディアム・ディープ。やや深め）
「すばらしいリムと大きめのカップを持ち、生き生きとした豊かな音。」
と解説されています。
話題のジャズトランペッター、ドミニク・ファリナッチ氏もV.バックの「5B」を愛用しているそうです。
リムはややフラットぎみで、リム内側のエッジがやや立ち気味です。
唇をグリップしやすく、高音域や長いフレーズなどでアンブシュアをキープしやすい形状です。
エッジからカップにかけて適度な「えぐり」が入っていて、リムの内径サイズ以上に音量や音色が豊かになるよう、カップの容量を増す配慮がなされています。
カップは同じV.バックのCカップに比べると少しカップ容量の多い「Bカップ」で、深すぎて高音域が出しにくいほどではなく、豊かでヨーロピアンな音色が魅力的な素晴らしいカップデザインです。
カップ内は敢えてうっすらと旋盤の加工跡をヘアライン状に残してあって、カップの中で息の流れや響きが微妙に複雑な乱反射をすることで良い音色を生み出すという話も聞きます。
V.バックのBカップのマウスピースには、バックボアに「No.7（シュミットスタイル）」というやや広めのバックボアが標準で採用されています。
20世紀初頭にヴィンセント・バック氏が古いドイツのマウスピースのバックボアを意識してデザインしたもので、現在でも非常に評価の高いバックボアです。
Cカップの標準バックボアの「No.10（スタンダード）」に比べると明らかに豊かな響きで、非常に好ましいと思います。
豊かな音色ですが、息を取られすぎたり吹奏時の抵抗感が少なすぎるようなことのない、バランスの良いバックボアです。
高音域の演奏しやすさを損なわずに、サウンドがぼやけることなく、ドイツ風のリッチな音色が得られます。
さらにイントネーション（音程）の面でも優れていて、低音域から高音域まで音程のバランスに優れています。
サウンドは豊かで深みがあり、それでいてリム内径が大きすぎるマウスピースのように高音域が出しづらくないので、むやみに大きめのマウスピースを使うよりも良い結果が出せることも多いと思います。
V.バックの5Bは中古市場でもあまり出回っていないので、気になっていた方には入手できる良い機会だと思います。
V.バックではCカップのマウスピースを使う方が多いですが、少し鼻が詰まったような浅い響きになりがちだと思います。
Bカップは高音域をほとんど犠牲にせずに良い音色が得られますので、中高生や楽器初心者からトランペット上級者まで、クラシック、ジャズ、吹奏楽まで演奏するジャンルを問わず非常におすすめできるマウスピースです。
全体に非常に良いコンディションを保ってます。ところどころ極わずかな小キズが見受けられますが、よく見ないとわからないほどでほとんど気にならないと思います。ピンクゴールドメッキの状態も非常に良好で、美しく光り輝いています。
リムからカップ、スロート、バックボアからシャンク先端まで、丁寧に製作されているのがわかります。
マウスピースの表面とカップ内からバックボア、シャンク先端まで、綺麗に洗浄して適度に磨いてありますので、汚れなどの心配のまったくない清潔な状態にしてあります。
非常に人気のあるピンクゴールド、トランペット奏者へのプレゼントにも良いと思います。
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